舌下免疫療法

舌下免疫療法

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 当院では、スギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法を行っております。
 以前から皮下注射による免疫療法が行われてきましたが、2014年にスギ花粉症、2015年にダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が保険適応になり、自宅で服用していただくことが可能になりました。
 1日1回治療薬を舌の下に置き、1〜2分(治療薬によって異なります)保持した後に飲み込みます。少量から服用を始めて、その後は決められた一定量を数年間にわたり毎日服用します。
 長期にわたってきちんと治療を行うことで、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、眼のかゆみなどの症状や、それに伴うQOL(生活の質)の改善、またアレルギー薬の減量が期待できます。

以下のような方には特におすすめです。お気軽にご相談ください。

  • 重症のアレルギー性鼻炎で、薬による治療に抵抗する方
  • 薬の使用を減らしたい方
  • 薬で眠気などの副作用が出やすい方
  • 数年先に妊娠・出産を希望される女性の方
  • 数年後に受験を控えており、症状を軽減させておきたい学生の方

舌下免疫療法とは?

 アレルギーの原因であるアレルゲン(抗原)を少量から、徐々に量を増やして繰り返し投与することで、身体をアレルゲンに慣らし、症状の改善や根本的な体質改善が期待できる治療法をアレルゲン免疫療法といいます。
 舌下免疫療法はアレルゲン免疫療法の一つで、アレルゲンを含む治療薬を舌の下に投与します。

注射による皮下免疫療法との違いは?

 舌下免疫療法は注射の痛みがなく、自宅で服用できるため、頻繁に通院していただく必要がありません。またアナフィラキシーなどの重篤な副反応も少ないとされています。

治療を受けられない方は?

  • アレルギー性鼻炎の原因がスギ花粉やダニではない方
  • 治療薬でショックを起こしたことがある方
  • 重症の気管支喘息がある方
  • 5歳未満の方
  • 妊娠されている方、近いうちに妊娠を希望される方
  • 悪性腫瘍(がん)や、免疫系の病気がある方
  • 抜歯後や口の中の術後、または口の中に傷や炎症がある方
  • ステロイドの内服薬や注射薬を使用されている方
  • 非選択的β遮断薬、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬を使用されている方
  • 重症の心疾患、肺疾患および高血圧症がある方

 高齢者の方、スギ花粉やダニ以外のアレルゲンに対しても反応性が高い方は、舌下免疫療法の効果が十分に得られない可能性があります。あらかじめご相談いただければ幸いです。

小児でもできますか?

 2018年にスギ花粉・ダニともに舌下免疫療法の適応が小児(5歳以上)に拡大されました。お子さんに舌下免疫療法を行うにあたっては、お子さん自身が毎日治療薬を舌の下に置き、保持できることが条件となります。長期間の治療になりますので、保護者の方のサポートも非常に重要です。スギ花粉の場合は新しい治療薬(2018年6月下旬に発売予定)しか小児に適応がありませんので、発売後1年間は14日分までしか処方できません。つまり、2週間毎に来院していただく必要があります。

妊娠中や授乳中でもできますか?

 妊娠されている方、また妊娠の可能性のある方にはおすすめできません。治療そのものというよりは、副作用が出たときに薬の使用に迫られるなどの様々な問題が生じる可能性があるからです。
 授乳中の方に関しては、積極的にはすすめておりませんが不可能ではありません。あらかじめご相談いただければ幸いです。

スギ花粉とダニの併用はできますか?

 不可能ではありませんが、同時に開始することはできません。困っている方を優先して、落ち着いた段階でもう一方を追加します。どちらも困っている場合は副作用が出にくいスギ花粉から開始して、後からダニを追加されることをおすすめしています。

いつから始められますか?

 スギ花粉症がある方は、1月から5月末まで新たに治療を始めることができません。花粉が飛んでいる時期はアレルゲンに対する身体の反応性が過敏になっているからです。6月から新規受付を開始しますが、効果が出るまでに時間がかかる治療ですので、早めに始められることをおすすめします。

治療開始までの流れは?

 スギ花粉症もしくはダニアレルギー性鼻炎ではない方は、舌下免疫療法を行うことができませんので、アレルギー検査(約5,000円(3割負担の場合))が必要です。他院でアレルギー検査を3年以内に行っている方は、検査結果の用紙(口頭不可)をお持ちください。
 舌下免疫療法の適応がある場合は、治療について詳しく説明を行い、十分にご理解いただいた上で治療開始日(初回投与日)を決めます。最初の受診日にいきなり治療を開始することはできません。
 初回投与は当院で行います。治療薬を服用してから約30分間の経過観察を行い、副反応の有無を確認します。特に問題がなければ、翌日から自宅での服用が可能になります。

服薬方法は?

 1日1回治療薬を舌の下に置き、1〜2分(治療薬によって異なります)保持した後に飲み込みます。その後5分間はうがい・飲食を控えます。服用する前後2時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などを避けていただく必要があります。

通院の頻度は?

 治療開始直後は1〜2週間毎に通院していただきますが、落ち着いた時点で月1回の通院となります。当院では1か月以上の長期処方は行っておりません。

治療期間は?

 舌下免疫療法は、すぐに効果が出る治療法ではありません。どんなに早い方でも効果が出るまで数か月はかかりますし、また効果が出たからといって短期間で治療を終了すると効果が持続しないと考えられています。1〜2年の治療で効果を判定し、効果があれば3〜5年の治療をすすめています。3〜5年の治療で長期間効果が持続すると考えられていますが、中には治療を終了してしばらく経ってから症状が悪くなる例があります。その場合も1〜2年の治療を再度行うことで効果が元に戻ると考えられています。

毎月の治療費は?

 薬剤によって多少異なりますが、1か月あたり2000〜3000円(3割負担/他の治療や薬の処方がない場合)かかります。

他の薬やレーザー治療との併用はできますか?

 ステロイドの内服薬(プレドニン、セレスタミンなど)は免疫系が抑制されて舌下免疫療法の効果に影響を及ぼす可能性がありますが、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイドなどは併用できます。レーザー治療を受けていただくことも可能です。

有効性は?

 約8割の例で改善効果(根治まで至る例は約2割です)が認められています。長期にわたってきちんと治療を行うことで、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、眼のかゆみなどの症状やQOL(生活の質)の改善、薬の減量が期待できます。
 残念ながら約2割の例では効果がありません。治療前に効果があるかどうかを予測できれば良いのですが、まだよく分かっていないのが現状です。

スギ花粉症に対する舌下免疫療法はヒノキ花粉にも効きますか?

 スギとヒノキは植物学的に近い関係にありますが、スギ花粉症に対する舌下免疫療法の効果でスギ花粉の飛散期では症状が改善してもヒノキ花粉の飛散期には症状が悪化する例は少なくありません。特に2018年春のようにヒノキ花粉が大量に飛散する年は注意が必要です。

副反応にはどのようなものがありますか?

 比較的多いのは、口の中(舌の下)の腫れ・かゆみ・違和感といった口腔内の症状です。他にもくしゃみ・鼻みず・鼻づまりといった鼻症状の悪化、のどのかゆみや不快感、耳や眼のかゆみ、胸焼けや下痢などの胃腸症状などが生じることもありますが、これらの多くは自然に改善します。症状が続く場合は、抗ヒスタミン薬の併用、また胃腸症状の場合は治療薬を舌の下に保持した後に飲み込むのではなく吐き出す方法(舌下吐き出し法)への変更で対応しています。
 非常に稀ですが起こりえる副反応として、アナフィラキシーがあります。医薬品などに対する急性の過敏反応により、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、頻脈・不整脈や血圧低下などの循環器症状、意識の混濁などの神経症状が見られます。国内では舌下免疫療法によるアナフィラキシーの報告はありませんが、海外では1億回の投与で1回程度生じたとの報告があります。
 他に注意しなければならない副反応として、気管支喘息の発作と急性蕁麻疹があります。これらを生じた場合には、舌下免疫療法が原因でないものであっても中断を考慮します。
 服用後30分以内、服用開始初期、スギ花粉の場合は花粉が飛散している時期は副反応が起こりやすいので注意が必要です。

最後にもう一度ご確認ください

  • スギ花粉症もしくはダニアレルギー性鼻炎でお困りですか?
  • 治療薬の服用を毎日、そして長期間(3〜5年)継続できますか?
  • 少なくとも月に1回は受診できますか?
  • 全ての患者さんに効果を示すわけではないことが理解できましたか?
  • 副反応について理解できましたか?